健康食品・サプリメントの基礎知識を整理しました。(その2)健康食品は成分(含有量)・品質・安全性がポイント!
健康食品を摂取する理由は、なんとなく健康に良さそうだからとか最近おなかが出てきたのでなんとかしたいというような、明確な動機によるものではないことが多いと思います。健康食品の分類を意識し、その関与成分や含有量まで確認して選んでいる方はほとんどいないのではないでしょうか。健康食品は食事で不足しがちな栄養素を補うものと言われますが、自分に不足している栄養素が何かを正しく自覚することは案外難しいものです。健康食品に対する知識を補強することにより、表示内容で注目すべき点が明らかになりますから目的をもった健康食品選びができるようになります。
(テーマ2)健康食品は成分(含有量)・品質・安全性がポイント!
◆ 健康食品の表示確認はここを見る。
健康食品でも医薬品でも表示をじっくり確認する方はあまりないのではないでしょうか。確認したとしてもせいぜい1日摂取量と飲み方の注意ぐらいで、細かい説明文は読み飛ばしてしまいます。食品の表示は食品表示法という法律があり、必ず表示しなければならない「義務表示」とそれ以外の「任意表示」があります。食品表示検定があるくらい、食品表示は意外に奥が深いのです。健康食品の表示は何を見ればよいのか、保健機能食品の3分類(特定保健用食品・機能性表示食品・栄養機能食品)について表示確認のポイントを解説します。
まず特定保健用食品(トクホ)は国が個別の製品ごとに許可表示関与成分が適切に含まれているか、有効性と安全性に問題がないかを国が審査し表示を許可します。科学的なデータに基づいて表示を許可しますから「許可表示:○○には△△(関与成分)が含まれているためおなかの調子を整えます。」などと書かれています。これに対し機能性表示食品は、安全性や機能性の根拠に関する情報を消費者庁に届け出て「届出表示:○○には△△が含まれているため、□□の機能があります。」と書かれ届出番号が表示されています。さらに「特定保健用食品と異なり、消費者庁長官により個別審査を受けたものではありません。」と表示しなくてはなりません。有効性や安全性に差があるかどうかはわかりませんが、機能性表示食品は国が審査して許可したものではないところが大きな違いです。
一方、栄養機能食品は国の許可も届け出も不要です。栄養機能食品の表示の対象となっている20種類の栄養素が一定量入っていれば事業者の責任で表示することができます。事業者の責任で拡大解釈する例や誤解を与える表示が見られることもあります。たとえばビタミンAが一定量入っていれば栄養機能食品と表示できるのですが、パッケージでグルコサミンを大きな字で強調するとまるでグルコサミンに特化した栄養機能食品のように見えます。保健機能食品の意味や区別を知らないと誤解してしまうこともあります。もっともそれがメーカー側のねらいだったりするのですが。本当に目的の成分とあてはまる栄養素が一致しているか確認してください。
保健機能食品の3分類は覚えられるものではないので、トクホ(特定保健用食品)は許可、キノヒ(機能性表示食品)は届出、エイキ(栄養機能食品)は無届とシンプルに区別して覚えてください。
それ以外は判断基準がない、いわゆる健康食品です。これだけで健康食品の表示を見るのが楽しみになります。
◆ 健康食品の表示の3つの確認ポイント。
健康食品のくくりのなかでもトクホ(特定保健用食品)やキノヒ(機能性表示食品)は国が関与していますから、表示に関するルールも厳しく品質や安全性では一定の水準はクリアしていると言えると思います。しかしそれ以外の健康食品は事業者の自主的な判断で表示されますから摂取する場合は自分で表示内容を確認する必要があります。品質を確認するポイントは成分・含有量・安全性です。成分名は原材料名の表示欄を見て判断します。含有量は保健機能食品では表示を見ればある程度わかるようになっていますが、それ以外のいわゆる健康食品では適切な表示をされているものが少ないように思います。安全性は品質につながる重要な点ですが素人が安全性を見極めるのは難しいと言えます。
医薬品は薬機法に定められたGMP (Good Manufacturing Practice)(適正製造規範)という厳しい基準があり、医薬品を製造するためには管轄する都道府県の薬務課が査察を行い知事が製造を許可します。健康食品にもGMPという基準がありますが、これは許可ではなく第三者の認証機関による審査認証です。同じように見えるかも知れませんが、許可と認証では本質的な重みが異なります。それでも健康食品の品質を判断するひとつの目安にしたいのがGMPマークです。GMPとは、(適正製造規範)の略で、原材料の受け入れから製造、 出荷まですべての過程において、製品が安全に作られ、一定の品質が保たれるようにするための製造工程管理基準のことです。これにのっとり一定のレベルに達した認定工場で製造された製品にはGMPマークをつけることができます。
GMPのほか食品の製造ではISO22000やFSSC22000などの認証を取得していれば、レベルの高い食品安全管理のシステムを運用している証拠になります。最近ではHACCP(ハサップ、危害分析重要管理点)の義務化なども話題になっています。大手メーカーだからとか広告で見たことがあるから安心だとは限りません。上記の認証を取得している企業であれば、万全とは言えませんが一定の品質管理はクリアできていると思います。
このほか確認すべき点には、義務表示として「アレルギー表示」「消費期限」「保存方法」があります。今後は「栄養成分表示」も義務化され、これも確認するようにしましょう。
賢く付き合うチェックシート
□表示でどの分類の健康食品か、どの成分が対象になっているか確認したか。
□「成分名」「含有量」「安全性」の3項目を確認したか。
□本当に自分が必要な栄養素と商品はマッチしているか。