グルコサミンのパッケージが美味しい本当の理由。
グルコサミンをはじめとする錠剤やカプセル状のサプリメントについて共通することは、味わうことはありませんから、味も風味も食感もありません。食べ物として求められる要素のすべてを排除して、水と一緒に飲み込むだけの固まりにしています。ですからサプリメントは食品ではありますが、美味しいと思って摂取することはありません。
サプリメントは、素材となる原料は吟味しますが、料理人の思いもこだわりもありません。医薬品ではありませんから効くとは言えないですけど、サプリメントを飲む方の多くは美味しいからではなくなにがしらの効果を期待しているわけです。
料理はこだわりやうんちくがあり、きれいな器に盛り付けてあれば雰囲気で美味しいと思うことがあるように、グルコサミンも効果を感じさせるパッケージと宣伝文句があれば、効果を期待して飲むことができます。効くと思えば効く、おまじないみたいな話になりましたが、人間というものはそういう不思議な面をもっているようです。
◆ グルコサミンのパッケージは直接広告。
サプリメントにとってパッケージは、商品価値をアピールする直接広告です。中に入っているサプリメントは食べ物と言っても、食べ物として必要とされる要素をすべて放棄して味もそっけもない固形物にしています。
それだけに毎日飲むたびに目にするパッケージは本来の商品保護とという目的より商品の直接広告として影響をあたえます。試しにサプリメントの錠剤を全部取り出してポリ袋に入れてみてください。数日もすればパッケージの影響が薄れてくるので、サプリメントが無意味な固まりに見えてきます。それだけパッケージのデザインや能書きに影響されてサプリメントを飲み続ける動機になっていることがわかります。
実は「パッケージ=商品価値」の傾向は市販されれいる食品の多くにもあてはまります。パッケージのイメージが味を形成します。甘い辛いではなく、美味しさと好みという主観的判断の基準になっているのです。それも気が付かないうちにパッケージデザインから広告戦略に取り込まれているのです。その頂点に位置するのが、商品価値を広告戦略に100%依存するサプリメントと言えるでしょう。
◆ サプリメントを美味しいと思う、効くと思う原因。
嗜好という過去の味覚経験がベースになり美味しいと思う意識が形成されます。しかしそれだけではなく美味しさの説明、ディスプレイ、盛り付け、雰囲気、権威付けなどが味覚経験の足りない部分を補正し修飾することで、未知の味覚でも美味しいと受け入れることができます。この現象はサプリメントの効果においても同様の影響を与えます。効果説明、パッケージデザイン、ブランドによる権威付け、第三者評価による期待感などにより効くかもしれないという意識付けがなされ実際の効果以上のプラシーボ効果となって現れます。
逆に、否定的な意見、副作用の情報、ブランドのマイナスイメージなどは負のプラシーボ効果となって本来期待できる効果を減衰させます。美味しいと思える条件付けが揃えば美味しいと感じられるし、効くと思える根拠説明とメーカーブランドによる信頼性と権威付けで効果を感じることができるようになります。
もともとサプリメントには医薬品のような厳密に検証された効果があるわけではなく、同時に医薬品の副作用のようなリスクも少ないところに気軽に飲むことができる価値があります。一定の効果が期待できる栄養成分を凝縮して手軽に摂取できるからこそ広く一般に浸透してきたと言えるのではないでしょうか。
◆ サプリ効果、情報による美味しさの正体。
食べ物を美味しくいただくとき「うま味」「美味しさ」という言い方があります。うま味とは甘味・酸味・塩味・苦味などの組み合わせによっていろんな味わいを生みだす基本の味です。しかし美味しさはもっと幅ひろい感覚で構成されます。料理の見た目、香り(風味)、食感、食事の雰囲気などを含めた五感で感じるものです。
しかし、もう一つの美味しさを感じる要素として「情報によるおいしさ」ということがあるように思います。例えば値段の高いワインほどおいしいと感じたり、こだわりの説明を聞くことで美味しさが増したりすることがあります。人間独特の嗜好ですが、利き酒会場でこだわりの説明を聞くと美味しそうに思い、ついつい1本購入する、あの感覚です。
実はグルコサミンをはじめとするサプリメントは「情報による効果期待」の産物なのです。だから価格の高いグルコサミンがよく売れたりします。確かに無味乾燥の美味しくもない固形物をありがたがって飲み続けることができるのは、情報による効果期待が理解できる人間だけのようです。効くと思えば効く、人はまったく不思議な生き物なのです。