「評価基準と安全性」カテゴリーアーカイブ

グルコサミンを始めとするサプリメントを評価する場合の基準と食品としての安全性を検証。

グルコサミン|機能性表示食品の効果と真実。

グルコサミンにおける機能性表示食品(キノヒ)の効果と真実。

 特定保健用食品がトクホなら機能性表示食品はキノヒと呼べそうですが、トクホとキノヒでは似て非なるものと言えるでしょう。特定保健用食品はその効果と安全性を国が検証してお墨付きを与えていますが、機能性表示食品は事業者の責任で機能性関与成分に関して届け出たものです。

ただ機能性表示食品の届出にも一定の要件と基準がありますので、機能性にかかわる関与成分の効果を示す根拠資料の提出が求められます。しかしこれは、国が精査して認証したわけではなく届け出を受け付け、届出番号を付与したものです。健康食品の効能を表現する制限を明確にするため、健康食品のなかでも機能性に特化したサプリメントをジャンル分けしたような感じと考えればよいと思います。

直接の効果を表現することができませんから、間接的な表現にならざるを得ず、「本品にはA(成分)が含まれます。AにはBの機能が報告されています。」というような効果を想起させるような言い回しになります。これをやりすぎると消費者庁から措置命令を受けることになります。

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 ◆ 機能性表示食品の生まれた理由と一般的な誤解。

 機能性表示食品であろうと特定保健用食品であろうと、効果・効能に関しては医薬品に敵うわけがありません。また医薬品には薬機法(医薬品医療機器等法)という厳しい縛りがあり、健康食品などで効果・効能を謳うことはできません。ところがサプリメントブームで薬機法すれすれの医薬品まがいのサプリメントが乱立し、市場が大きくなったことで一定の規制をかける必要が出てきて、その結果健康食品の分類を定めたという経緯です。内訳は特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品とその他の一般的な健康食品です。

この区分により表示のルールが定められ機能性関与成分や栄養成分の表示が認められました。特定保健用食品以外は直接的な効果を訴求することはできません。これが安倍政権で主導された、機能性表示食品という分類が出てきた理由です。これにより言わば機能性表示の解禁となったわけです。

 ところが、機能性表示食品という言葉は、国が認めたトクホのような誤解の元になっているところがあります。消費者からすれば「機能性表示食品」と言えばいかにも医薬品のような効果と安全性を担保されたような気になるようです。その誤解を健康食品各社はうまく利用して、健康食品の信用度を高めようとしているわけです。この辺に機能性表示食品の一般的な誤解があるように思います。

 ◆ 機能性表示食品の真の意味。

 薬でもない、トクホでもない、機能性表示食品という区別があります。機能性表示食品と言えば、少なくともすっぽんエキスだとか酵素や黒酢のような配合不明の健康食品ではありませんよ、研究の結果として一定の効果が報告されていますよというスタンスになります。グルコサミンが機能性関与成分として00g含まれ手軽に摂取できるという言い方になります。もちろん届出されただけであり、国が保証し管理しているわけではなく、あくまでも事業者責任で表示しているということが機能性表示食品の本質です。

 ◆ 機能性表示食品の価値を評価。

 機能性表示食品に問題があると申し上げているわけではなく、機能性表示食品の成り立ちと意味を理解することで健康食品としての正しい評価を導くことができると考えています。機能性表示食品の届出をしただけでは品質を評価することはできないし、届出をしていない会社と比べて特段優れている理由があるわけではないのです。機能性表示食品だからといって効果や安全性が担保されているかとは限らないのです。

 医薬品は開発に膨大な時間と費用がかかりますが、広告宣伝は規制が厳しいですしどこでも売れるわけではありません。また製造ラインから管理の仕組みまですべて食品とは違う高いレベルで管理が求められます。ところが健康食品の開発は医薬品に比べれば比較にならないほど少ないコストで可能です。製造すら外注工場に依頼してブランドをデザインしたパッケージに詰めれば販売することができます。広告宣伝費は莫大にかけることができます。表現に制約はあるというもののきわどい宣伝文句でプロモーションを展開することも可能です。開発や製造のハードルが低いですから資本力のない小さな会社でも参入が可能です。

 ただ普通であれば健康食品ですから医薬品のような効能を謳うことはできません。それを一歩進んでトクホを認定して売れるようにしたり、届出だけの機能性表示食品や栄養機能食品などという誤解しそうな機能分類を制定したりした裏には、政治的な配慮が働いたと考えても無理のないところです。なにしろ健康食品会社は政治家の資金源として大きな位置を占めているようですから、さもありなんと言ったところです。

参考記事:健康食品・サプリメントの基礎知識を整理しました。(その1)

参考記事:健康食品・サプリメントの基礎知識を整理しました。(その2)

参考記事:健康食品・サプリメントの基礎知識を整理しました。(その3)

 ◆ グルコサミンと機能性表示食品。

 グルコサミンでも機能性表示食品としての届出をして表示しているところもありますし、届出していないところもあります。また機能性表示食品としての届出を撤回したところもあります。機能性表示食品の届出をするためには手間と専門家と費用がかかりますからどこでもできるというものではありません。ある程度専門的なスタッフがいて、資金的なバックがないと基礎的な資料収集や機能性関与成分の研究レビューが作成できません。

 そういう意味からいえば機能性表示食品の届出は無意味なことではないのですが、医薬品的な効果やイメージ訴求に誤解が生まれるところに問題を感じてしまいます。グルコサミンなどのサプリメントの評価をするときに機能性表示食品としての届出を加点ポイントと考えることにはやはりためらいがあります。配合成分や製造工場の安全性を細かく見ていく方がより正しい評価につながるように思います。

キユーピーのグルコサミンは機能性表示食品の届出をしていません。